簡単な投資、わかりやすい投資
簡単な投資をしましょう、とは初心者向け投資本によく書かれていることだと思いますし、それは確かに魅力的に感じます。私にとって魅力的である簡単な投資とは、「売買判断を迷わなくて済む」という投資です。
来週ブラックマンデーが来るとか、逆金融相場で終わりの始まりだ、とか様々なことが言われていますが、それでも売買判断を悩まなくて済む簡単な投資をしていれば暴落はチャンスになり得ます。
保有株が下がっているときに考える事は人それぞれですが、おそらく多くの投資家心理としては、
・損失が拡大していく
・どこまで下がるのだろうか
・他のホルダーに対して逃げ遅れるのではないか
・市場環境が悪いのに株をしていていいのか
・もう株なんてしなきゃよかった
こういう状態だと思います。私も投資を始めて数年はそうでした。
でも今の私にとっては、全部不要です。
いかに暴落を利用できるか、最近はこればかり考えています。
結果、必要と感じることは、今のポジションで勝てるという見立ては変わっていないだろうか。その一点です。やらなければならないことは、チャートに線を描いてお絵描きすることでもなく、TLをさかのぼって他のプレイヤーのおはぎゃあに共感することでもなく、ただただ保有株のストーリーが崩れていないか、その一点です。
今回の記事ですが、思うところがありキーボードを叩くことにしました。様々な投資家さんが暴落時にはポジションを外すよう推奨しており、世間から中長期投資をする投資家が減っているように感じます。だからこそ、人の裏に道ありで優良銘柄を保有する投資家が報われる日も近いのではないでしょうか。
具体的な話に移ります。
私が所有している主力銘柄のうるる(証券コード3979)が決算発表を受けて暴落しました。
高値からは約25%の下落です。言い換えると価格が25%下がると同時に、同じ金額で25%多くの株券が手に入る状況となりました。本当にストーリーが崩れていないなら、優良企業の下落調整局面は最大の買いチャンスになります。だからこそ暴落局面で一番にやるべきことは、狼狽してチャートにお絵描きすることではなく、再度ストーリーが崩れていないか、数字を使って確認することだと思うんです。
私が投資戦略を立てる際にやっていることは単純です。
①ゴールの設定
②経過の予測
③成功確度の確認
以上3点を頭の中で整理していきます。今回はそれを文章にまとめてみたので少しでも参考になれば幸いです。
①ゴールの設定
今回の差し当たりのゴールとは、FY24/3中期経営計画の達成です。ここで重要なことは中期経営計画が達成された際に本当に株価が割安かどうか、ということです。未来の成長を織り込んでいる成長株がいかに成長したとしても、その未来時点で買いたい人が出現しないのであれば絵にかいた餅にすぎません。ゴールの時点でうるる社が掲げている売上は58億、EVITDAで15億です。一般的にこの手の利益率の会社がEV/EVITDA20以下で放置されるということはここ数年起こっておりません(暴落時でこのくらい)。つまりゴール時点での企業価値を考えるとどんなに小さく見積もっても300億の時価総額は許容されるでしょう(EVITDA15億の時点で、営業CFはさらに積みあがっていますからね)。それに対して現在の時価総額が100億強なので、ゴールにたどり着くとしたら2年で3倍になります。なるほど、ここは十分投資妙味がありそうです。
②経過の予測
うるるの主力セグメントNJSSにしぼって見ていきましょう。
中期経営計画最終年度のNJSSセグメントの予想売上高は27億円。ここを分解することがスタートです。
まず右肩上がりのARPUについて、現在1223円/dayですが、既存の割引顧客が脱退して新規顧客に入れ替わっていることから、近年は徐々にARPUの上昇が見られます。ここがある程度頭打ちになるというコンサバな予測として、最終年度はせいぜい1350円と仮定しましょう(ここでは極めて保守的にそして単純に計算するために、プロダクトリニューアルによるARPUの上昇は見込まず)。
すると
1350円×365日=492750円、有料契約1件当たり約50万円の年間売上となります。
目標とする27億円を達成するには、
27億÷50万円=5400件の契約数が必要となります。
現在の契約数は3960件となっており、これからの3年で、
5400-3960=1440件の新規契約数が必要なことがわかります。
つまり年間480件、四半期120件のペースで新規契約増が進めばよいことになります。
これを今期の新規獲得ペースと照らし合わせてみると、
あれれ、気づくことがあるはずです。
今の時点の伸びを維持するだけで、中計達成可能???????
そうです、これから人材採用や積極投資をして無理やり伸ばすのではなく、今の時点の伸びが続くだけで十分達成可能な数字なんですね。
この数字をさらに伸ばすべく投資に打って出るものの、社内ではかなり余裕を持たせた計画となっているようです。これは数字を落とし込まないと直感的にはとても分かりにくいものです。かくいう私もこんなに中計を上振れさせて大丈夫なのか?かなり投資をしないと追いつけないのではないか?と心配しましたからね。
③成功確度の確認
経過が予想できたらあとはその通りにストーリーが進んでいるかHPなどから情報を仕入れて確認するのみです。
株式会社うるる(東京都中央区 代表取締役社長:星 知也、以下「うるる」)が運営する「入札情報速報サービスNJSS(エヌジェス)」は、2021年5月11日に有料契約件数が4,000件を突破したことをお知らせします。
このリリースは参考になりますね。
本来、3月⇒4月の時点では年契約の解約(更新せず)が相次ぐため、契約件数が一時的に落ちる傾向にあります。過去を見ても4Q⇒1Qで契約件数が落ちていることがしばしばあります。3月年度末解約数>4-6月新規契約数となっていた訳ですね。
ところがこのリリースから分かることは、年度末3960件に対してたったの40日で+40件の契約数を獲得して上回ってしまったということなのです。近年解約率が下がっていることもありますし、対して想定以上に新規契約数の伸びは維持されているように感じます。少なくとも契約数が落ちがちな1Qですら、120件に近いペースで伸ばせているのですから。
かくいう私も、「あれ契約数ペース鈍化してない?」と心配したのですが、数字に落とし込んで過去と比較してみると全く問題ないペースでした。
これから暴落がやってくるぞ!逆金融相場の始まりだ!と買いと売りの丁半に狼狽する投資家が多い中で、数字を緻密に積み上げて中長期投資をしていくことで優位性を保てるようになりたいですし、そうやって楽しい投資ライフが過ごせるとよいですね。本日は以上です。過去最大文字数(約3000字)のブログなので拡散してもらえたら喜びます。見ていただいてありがとうございました。